きこいろ(片耳難聴のコミュニティ)BLOG

9月〜会員メンバー募集!

BLOGの記事一覧(目次)

 

 

 
BLOG記事が増えてきたので見やすいように、整理しました。見たい記事をクリックすると、その記事が見れます。

 

▼主な記事の分類

 

 

きこいろのBLOG・twitterの見方

 

●BLOG

不定期更新。片耳難聴についてや活動報告などまとまった情報を載せています。

 

twitter

日々更新。ちょっとした片耳難聴にまつわる情報、イベント案内、BLOGの更新お知らせ、きこいろの運営メンバーのことなども呟きます。

 

※どちらも現在、きこいろ事務局の麻野が管理担当です。執筆や情報のリサーチを、言語聴覚士始めきこいろメンバーにもお願いしています。インタビューは随時いろんな方に受けて頂いています。皆さんに確実な情報をお届けできるよう、根拠を取った情報発信に努めています。

 

 

知識・情報について

聞こえの基礎知識

両耳の聞こえと片耳難聴の聞こえの違い

片耳難聴で困ること・助かること

片耳難聴の勉強への影響と、席の配慮

片耳難聴を人に伝えるときのヒント

片耳難聴が使える補聴機器(BAHA、人工内耳)

クロス補聴器・ワイヤレス補聴援助システム

片耳難聴「使えないサービス・使えるサービス」

リスニングテストと片耳難聴

 片耳難聴と子ども・ご家族

片耳難聴と音楽

片耳難聴とめまい・耳鳴り

おたふく風邪と片耳難聴

 

片耳難聴Cafe(交流会)について

片耳難聴Cafeとは、よくある質問

・12/14in岩手  募集中

・1月上旬in福岡 募集中

 

片耳難聴レクチャー(学習会)について

片耳難聴レクチャー・ミニ個別相談について

in神奈川11/02(土)片耳難聴レクチャー (終了)

 

インタビューについて

 片耳と働く vol.3(水産系/必要なときに伝える派)

片耳と働く vol.2(ウェディングプランナー/伝えない派)

片耳と働く vol.1(福祉系/伝える派)

小耳症・外耳道閉鎖症(伝音性難聴/伝えない派)

中耳炎(伝音性難聴/あまり伝えたくない派)

ご家族(小学生の片耳難聴を持つお子さんの父)

 

きこいろについて

きこいろとは・会員募集


【運営メンバー紹介】ロゴ担当、UXデザイナー

【運営メンバー紹介】ご家族

【運営メンバー紹介】言語聴覚士

【運営メンバー紹介】音楽情報担当

 

講演・研修など

心理学会自主企画シンポジウム

 

きこいろは、片耳難聴を持つ人のQOL向上や過ごしやすい環境・社会つくりを目指し、ご協力下さる企業・行政・団体さまなどのご依頼もお受けしています。

 

研修、講演・講座、交流会など、「片耳難聴者」をテーマにした研修や交流会などを開催します。日頃から、学校の授業や関係機関での講演をしている専門職や、当事者のリアルな声をお届けすることができます。 対象に合わせ、1回完結のものから複数回で完結するものまで、内容やスタイルはご相談ください。

お問い合わせは、こちらのフォームよりお願い致します。 

 

f:id:katamiml:20190917133701j:image

(任意団体)きこいろ活動紹介チラシ.pdf - Google ドライブ

 

 

問い合わせ先:

https://twitter.com/kikoiro

kikoiro.com@gmail.com

 

 

【インタビュー】伝えるようになったのは仕事を始めてから

 

▼INDEX

 

< プロフィール >

・名前:なんち(仮名)

・年齢/性別:24歳/男性

・所属:医療事務職→転職中

・聴力の程度:右80dB(高度難聴)左20dB(正常)

・原因:真珠腫性中耳炎

・発症の時期:小3~中耳炎を繰り返し、中1年~聴力低下

・補聴器:会議・飲み会の時などに使用

・開示の有無:

仕事では伝えるときが多い

プライベートでは状況に応じて伝える

 

1.子どもの頃は困らなかった

あさの(聞き手。以下あ):なんちさんは、中耳炎から「真珠腫性中耳炎」になったということでした。まずは、どんな経緯だったかを教えて頂けますか。

なんちさん:小学校3年生くらいに、中耳炎になりました。耳垂れが出てたので、病院に行ったところ中耳炎と診断されました。

 

その頃は、中耳炎というものもよく理解していなかったので、深く考えることもありませんでした。耳垂れが頻繁に出るとか、プールに入れないとか困ったことがあっても、それほど大事とは感じていませんでした。

中耳炎は珍しくない病気なので、親もあまり深刻に感じている様子はありませんでした。

 

その後、中耳炎が治らず、中学1年生の頃に「真珠腫性中耳炎」という病気に移行しました。それで聴力が落ちてきたのですが、あまり大きなショックも受けませんでした。

 

あ:ショックを受けないのは、気にならなかったということ?

なんちさん:当時は、学校という小さなコミュニティの中にいたので、あまり不便がなかったからです。

耳が悪くなったという漠然とした不安はあったけど、片耳難聴で何が困るかも良く分かっていなかったので悩むまでに至らなかった感じです。なので、友達や先生にも言っていなくて、特にサポートを受けることもありませんでした。

親とも、その時も今もですが、特に難聴については話すことはないです。家の中は比較的静かな環境で、あまり困らないので。

 

あ:手術も経験されていて、大変だったのではと思いますが・・。

なんち:あまりはっきりとした記憶がなくて..。夏休みに手術をするのに、他の人より2日くらい早く休んだのが嫌だったな、というのは覚えています。

手術で、聴力が改善する場合もあるようなのですが、僕の場合は、難聴が残りました。でもそのときも「痛いのは嫌だな」とは思いましたが、自分にとっては、そんなに大変と感じる経験とは思いませんでした。

 

f:id:katamiml:20191111172604p:plain

 

2.中耳炎とは

中耳炎の種類と主な症状など*1

 

①急性中耳炎

原因:風邪などで細菌が鼻に繋がっている「耳管(じかん)」を通り、中耳に侵入し炎症が起こる。

症状:耳の痛み、耳だれ、難聴、発熱

治療:解熱鎮痛薬・抗菌薬を飲む。重症のときは、鼓膜を切り、膿を出す。

 

< 予防のために >
・なるべく鼻水をすすらず、こまめに鼻をかむ。
・鼻は、両方同時ではなく、片方ずつかむ。
・鼻をかめない乳幼児は、「鼻水吸引器」がある。

 

②慢性中耳炎

原因:急性中耳炎が繰り返しや滲出性中耳炎により、炎症が慢性化して鼓膜に穴があく。

症状:耳だれ、難聴、鼓膜穿孔

治療:鼓室・鼓膜をつくる手術。抗菌薬の内服・投与、鼓室の洗浄。

 

③滲出性(しんしゅつせい)中耳炎

原因:耳管が上手く働かない→鼓室の空気圧が調整されない→鼓膜が内側にへこみ、浸出液が溜まる。

症状:耳が詰まった感じ(耳閉感)、難聴、痛みはない。

治療:浸出液が多い場合では、鼓膜を切り吸引。鼓膜にチューブを入れ換気ができるようにする。

 

④真珠腫性(しんじゅしゅせい)中耳炎

原因(後天性の場合):耳管が上手く働かない→鼓室の空気圧が調整されない→中耳側に凹んだ鼓膜に耳垢が溜まる(真珠腫)→細菌の感染が起こる。

症状:耳垂れ、難聴、耳の痛み、悪化すると目眩、髄膜炎など。

治療:真珠腫を取り除く手術、壊れた耳小骨の再建手術

 

f:id:katamiml:20191111164559g:plain

鼓室形成術のイメージ

出典:新潟大学大学院医歯学総合研究科 耳鼻咽喉科

 

好酸球性中耳炎

原因:喘息やアレルギーのある人に起こる。鼓室でアレルギーが起きる→液体が内耳に溜まる

症状:難聴は、一般的に両側性。耳閉感、耳鳴り。

治療:鼓膜を切り、液体を吸引する。必要があれば、鼓膜へのチューブ留置やステロイドの注入。

 

 

3.問題に直面したのは、大学生の頃

f:id:katamiml:20191111173204j:plain

あ:子どもの頃は、それほど困ることはなかったんですね。苦労が増えたのは、いつ頃からだったんでしょうか。

なんちさん:人との関わりや、コミュニティが大きくなってきた大学生の頃からです。

高校生までの「話を受け身で聞く」といったスタイルから、サークル活動や授業内でのディスカッションなど、皆で話し合うような場面が増えると、聞こえないと困ることが増えました。飲み会など騒がしい場においても、会話が聞き取りにくく困りました。

 

大学の講義は、「静かだから大丈夫」という人もいるようですが、僕は聞き取りにくかったです。高校までと比べると、教室が大きくなったり、受講する人も多く雑音が気になったからかも知れません。

 

片耳難聴をほとんどの人に言っていなかったので、聞くことや、合わせて返答することに必死になっていました。

家に帰って「聞き取れんかったな」と落ち込んだりしましたね。

 

あ:周りの人に、片耳難聴を伝えなかったのは、何か理由があったんでしょうか?

なんちさん:親友2~3人に伝えたこともありました。でも、伝えたところで、あまり意味がないかなと思ってました。

ただこうして改めて考えると、伝えない理由を「意味がない」と置き換えていた可能性もあった気がします。

実は、「ハンデがある」というマイナスのイメージが自分の中に合って、人に言うのもとても抵抗感があったのかも知れません。片耳難聴であることを受け入れることが出来なかったんでしょうね。

 

恋人にも言っていなかったですね。

例えば、一緒に道路を歩くとき、僕は右耳が聞こえないので、相手には左側にいて貰わないと聞こえない。でも、右側通行の道で左側を歩いてもらうと、彼女が車道側になってしまう。

一般的には、女性は内側にというものと思うのですが、そのときは車道を歩かせてしまうのは、仕方ないと思っていました。

どう思われていたかは分からないけど、自分の中では問題視していなくて。「嫌われるから、耳のことを言わない」とまでは思ってはいなかった気がしますが..。

 

 

4.伝えるようになったのは仕事を始めてから

f:id:katamiml:20191111165849j:plain

あ:仕事は、病院の医療事務の仕事に就かれ、大学時代は片耳難聴を伝えずに過ごされて来ましたが社会人になって伝えるようになったとのこと。そこには、どんな変化があったんでしょうか。

なんちさん:いざ就職が決まってから、仕事も耳のことも全体的に「これから大丈夫だろうか」と徐々に不安になってきました。

 

大学の時には、インカムをつけるアミューズメント系のバイトを含め、いくつか仕事を経験してきましたが、それらは、片耳難聴のことを伝えなくても大きく困ることないものでしたし、仕事先の選択でも片耳難聴を特別に考慮してはいませんでした。

 

しかし、社会人になり立場も変わり、より一層責任のある仕事をする上では、「片耳が聞こえないと言わないでいるのも良くないのではないか…」と思うようになりました。

聞こえないことで誤解を受けたりしたら、結局、苦しむのは自分だなとも。

入社後の挨拶直前まで言おうかどうか・どう言おうかと悩みながら、伝えることにしました。

 

あ:どんな感じで伝えたんですか。

なんちさん:1000人規模の病院でしたが、全員と関わらないので言う必要があったのは、日頃から関わりがある配属部署の方でした。部署は、7人と少人数だったので、自己紹介のときに直接みなさんに言いました。

「なんちです。~~~~~(いろいろ)。中学生の頃に右耳を悪くしたので、聞き返したり、聞こえないときがあるかも知れません。その分、違うところで頑張っていきますので、よろしくお願いします」と。すごく緊張しました。

周りの人は、特に気にした様子はなく、普通に拍手してその場は終わりました。

 

その後も、部署を移動したら挨拶のタイミングで言っています。

会議のときに聞こえにくいポジションになってしまったら、隣同士の席で交換して貰うこともあります。

いやな顔せず、受け取ってくれる人が多いです。中には覚えてくれて、相手から自然に聞こえやすい耳の側に回ってくれる人もいて、有難いです。

 

あ:すると、業務上では困り感はそう感じずにやれていましたか?

なんちさん:そうですね。事務の仕事だったので、人と密なコミュケーションがないのは楽でした。

 

電話対応もありましたが、固定電話ではなく個別の携帯電話が支給される病院だったので、よくある「複数の電話があるオフィスで、どの電話がなっているか分からない」という困りごとはありませんでした。

 

でも、ちょうど自席の近く、それも聞こえる耳側にプリンターが置いてあって。印刷の音って結構大きいので、それは気になりました。聞こえる側が雑音で潰されてしまうと、ますます聞こえにくくなるので。

 

あ:なにか工夫していることなどはありますか?

なんちさん:議事録を自分が取るような会議では、ボイスレコーダーを使っています。記録するのにも、聞こえなかった場合にも便利なので。使う時も、目立ったり不自然な行動でもないので、周りの人に特別に言わずに、机の上に置いてやっています。

 

 

5.周りの人からの助かること

f:id:katamiml:20191111173653j:plain

あ:言わなかった学生時代、言うようになった就職後。普段の生活では、どうしていますか。

なんちさん:仲の良い友達には伝えるようなりました。食事の席につくときや電車の座席などで、「右耳が聞こえにくいからこっちに座っていい?」と、席位置を選ばせて貰っていますね。

 

あ:周りの人からしてもらって助かったエピソードはありますか。

なんちさん:飲食店を選ぶ際、個室のある居酒屋を選んでくれたり、テーブルでも端の席などを確保してもらったりすると、とても嬉しいです。

それから、名前を呼んでから会話をしてくれるのも助かりますね。急に話しかけられると音の方向性が分からなかったり、聞き取れないことが多いので。自分に話しかけられてるんだなと分かって、聴く態勢が取れてから話して貰えると、聞き逃しが減って助かります。

 

あ:言うことへの抵抗感は変わりましたか?

なんちさん:少しずつ薄れてはきました。Twitter等で片耳難聴者が自分以外にも沢山いることを知ったのも大きいです。自分だけが苦しい思いをしているのではないんだな、と。いまは、自身の片耳難聴を受け入れることができていると思っています。

 

それでもやはり、出来るのならばカミングアウトしたくないな、という気持ちもあります。そんな風に、困りごとや悩み・不安はゼロにはならなくて、10点満点で答えるなら、大学生の頃も昔も7点くらいかも知れません。

 

 

よく思うのは、「伝えられた側はどう思うんだろう」ということです。「どう接していいか分からなくて困らないかな」という心配があります。

正直その辺りの心境は自分でもはっきりしていなくて、まだ自分と向き合っている途中です。これまでも変化があったように、これからもまた変わっていく気がしています。

 

 

 (聞き手・執筆:あさの)

 

<参考リンク・文献>

・耳鼻咽喉科学会

中耳の疾患 | STナビ

耳鼻咽喉科疾患ビジュアルブック2018

 

 

f:id:katamiml:20191009205920j:plain

 

<直近のイベント案内>

 

 

*1:詳細はケースによって異なります

片耳難聴、伝え方のヒント

 

 

片耳難聴のお悩み、は聞こえの問題だけじゃなく

「どうやって伝えよう」

「いつ伝えよう」

「伝えにくいな」

「伝えても忘れられるんだよな」etc.カミングアウト問題!にもあるようです。

 

そこで、これまで片耳難聴Cafe計9回、記事インタビュー、アンケートなど約200人の皆さんから聞いた「伝える」にまつわるリアルな声を改めてまとめました。

 

(プライバシーへの配慮のため修正や、言葉の言い回しを変えたりしています)

 

聞こえ方はいろいろ、困りごとはいろいろ、感じ方はいろいろ。

伝える人も、伝えない人も、伝えたいけど伝えにくい人も、いろいろ。

 

「自分はどうしよう」というヒントになれば幸いです。

 

f:id:katamiml:20191108213231j:plain

 

 

1.伝える人の気持ち

・伝えることは、自分を守る方法。

 

 ・メリット、デメリットを考えて、伝えることを選ぶ。

・最初に伝えてしまうのが一番手っ取り早いと思っている。タイミングを逃すと今更感が出てくるし、初対面の人とは、聞こえずに誤解を生むより、コミュケーションを円滑にすることの方が大事だから。

 

・「無視された」とか、「話を聞かない人」なと誤解を受けたくない。

・親の立場で片耳難聴。子どもには小さい頃から伝えている。子どもに「自分が無視された」と思わせたくないから。

 

・就活のときも、始めから伝えていた。伝えて落とされるなら合わなかったということだし、言わないで「こんなはずじゃなかった」などと後から苦労するより良いと思うから。

・友達関係より仕事上の方が、逆に伝えやすいと思っている。業務を責任を持って遂行するために必要なことで、伝えるのは合理的なことと考えられるから。

 

・配慮して欲しいことをはっきり言った方が、周囲の人もどう接しっていいか分かっていいと思う。自分も片耳が聞こえなくなって初めて不自由さを知ったし、それまでの自分も誰かを傷つけていたかも知れないと思うから。知らないと配慮も出来ない。だから、お願いしたいことは溜め込まずに、その都度伝えるようにしている。

・もし自分の友達に片耳難聴で困ることのある人がいたら、言って欲しい。そう思ったら、自分も言おうと思った。

 

・他人は、人のことをそんなに気にしてない。

・特段、伝えたことで嫌な経験をしていないから言えている。 

 

・他人のことだから分かりにくくて当然。今は、「何度も言ってたら相手も思い出すようになるかも」と思いながらいつも伝えるようにしている。

 

聞こえなくてごめんねと卑屈になってしまうこともあるけれど、本当はみっともなくも恥ずかしいことでもないはず。

・「障害のことだから聞かない方がいいかと思って」と言われた経験があるけれど、違和感がある。人によると思うのに、なぜ障害だけ一括りの躊躇が生まれるのか。聞こえないことは悪いことじゃない、だから伝える。

 

 

2.伝える時の工夫

・自己紹介のときに、さらっと明るく、端的に伝える。「~~~です。すみません、片耳が聞こえなくて、こっち側に座らせて頂きますね」など。病気の理由などは、詳しく聞かれたときに話す。

 

・まずは、その場のキーパーソンになる人に相談する。キーパーソンに理解して貰えたら、その他の人にも理解を示してもらいやすいから。

 

求めることを具体的に伝える。

・お願いすることは、相手に無理のない範囲で、相手の立場に立って伝える。

 

・聞こえなかったら「すみません、聞こえにくくて、もう一度..」、

歩いてるときは「聞こえないから、こっち側がいいです」と動く、

賑やかな場所にいたら「少し大きめの声で話して貰えると助かります」、

授業のグループでは「聞こえにくいから、もっと小さな輪になろー近くによってー」

お店を選ぶときは「個室・(二人ならカウンター)でもいいですか(と自分が幹事になる)」、

お店の予約サイトの希望欄に「聞こえにくいので、可能であれば賑やかでない・壁側の席にお願いします」と書いたり、

上座下座は、下座の端を取るのが一番、

無理だった時は、伝えやすい上司であればコソッと「ちゃんとお話聞きたいので」とお願いしたり、

車など固定の席では予め「聞こえにくいから、聞き返しが多くなるかも」など。

 

・就活では、最終面接で伝える。履歴書では、マイナスの印象だけ与えて、他のところを知って貰えなかったら困るから。

伝える時は、マイナスではなく出来ることも伝える。「片耳が聞こえませんが、電話対応はできます」「片耳が聞こえませんが、これまで工夫をしながら○○はすることが出来ています」

また、それをプラスの価値に思ってもらえるように伝える。「片耳難聴を経験したことで、~~~いうことを学びました」

 

 

f:id:katamiml:20191108211709j:plain

 

3.伝えない人の気持ち

・生まれつきということもあり、自然と自分なりの対処の仕方を身に着けていて言わなくても何とかやれている。

・伝えなくても自分のキャラクターで何とかできるから、あまり伝えていない。天然キャラ、明るいキャラな感じで聞き返したり、自分で位置を調整できるときは聞こえやすいようにはしている。

・事務職だと、静かな環境だと案外大丈夫だから言わなかった

 

・配慮して貰うのも申し訳ない。

・口にすると「私、可哀想でしょ」と言う雰囲気になることがあったので言いにくい。

・タイミングを逃して、そのまま言えずにいる。 

 

・子どもの頃に、家族から「言ってはいけない」と言われた。

・理解されないと思い、言っていなかった。

・コンプレックスだから言えない。

・弱みを見せたくない。

・仕事の面接では、不利になるのが不安で伝えられない。

・子どもと関わる仕事をしているが、「伝えても分からない」と思うのと、保護者からどう思われるかも心配で言っていない

 

・片耳が聞こえないと伝えても10分後には忘れられてる。だから、いちいち伝えるのも面倒くさかったり煩わしいくなる。その場限りの人には伝えない。

・「聞こえないのではなく、聞いてないのではないか」と誤解されたり、信じてもらいないこともあった。片方が聞こえているから、相手からはもう片方が聞こえないなんてことは忘れられる。家族でさえ理解がないから、伝えるのを諦めるようになった。

 

 

4.伝える難しさ

・信頼関係を構築する前に、話すことが「責任を負わないことの単なる言い訳」になってしまう可能性や、話すことで問題の核心を曖昧にしてしまう時には、 あえて言わないようにしようと思っている。

 

・伝えるのが楽なのは分かっていても、言えないときがあった。そういう時は、耳をかいてるフリして聞こうとしていたり、電車内では広告を見るフリして傾けたり・窓の外を見るフリして身体を傾けて聞いていた。

 

・自分以外の誰かを最優先で考えてあげるべきシーンだと、唐突に自分の個人的事情を持ち出すことが難しい場合がある。

例えば、仕事関係で座席配置などに配慮しなければならないとき、自分の席が聞き取りにくいポジションであっても言い出せなかったり。

・実際に話して場の空気が重くなってしまったことがあるので、話す時には時と場所を選ぶ必要があると感じている。

 

・一般的には、片耳難聴について詳しくは知らないから、1〜10まで説明しなきゃいけなくて、そうするとその場の雰囲気が違う方向に行ってしまうな、とは思っている。

・言葉で言っても、体験しないと分かりにくいところもあると思う。

・「片耳聞こえればいいじゃん」と励ましのつもりかも知れなくても言われると、戸惑うし、「全然気にしないよ」と善意で言ってくれているんだろうけど、 こういう配慮して欲しいのだ..とお願いしなおす。

 

・「突然言われたら、相手も困るかな」と考えたりする。

・相手が忘れていた時、再度説明することが相手を責めるようで申し訳なくなる。 

 

 カップ, ドリンク, ハッピー

 

5.一部の人に伝える人の気持ち

・本当に困るときにしか伝えない。

・ごく一部の親しい人にのみ伝えている。

・学校の先生にしか言っていなかった。

・友人にも話したことはなかった。話したのは、結婚を決めた時だけ。「引かれたらどうしよう」と思ったが、普段の生活に大きな支障がないからか特に気にされなかった。

 

 

6.徐々に伝えられるようになった

・ずっと伝えていなかった。でも、ここ最近は昔より、片耳難聴の認知度も上がってきたと思う。片耳難聴について、言いやすい世の中になってきた気がする。

 

・重く受けとめていた訳ではないけれど、皆に、片耳難聴だと言えるようになったのは、つい最近。初めは勇気がいった。言ってみたら、次のハードルは案外軽かった。

・段階を経て、「自分は自分、聞こえないのは仕方ない」と思えるようになったら、人に言えるようになった。

 

・配慮して貰うのが申し訳ない気がして、あまり積極的に開示したりお願いをしていなかった。でも相手のためにも言った方がいいと考えたら、もっと気楽に言ってみようと思えた。

 

・以前は一度伝えたのを忘れられてしまったら「言ったのに」と思ってたけど。近しい人でも忘れるから、そういうものと割り切って、自己紹介やその都度言うようになった。一度言っておくと、その後も言いやすくなくなった。

 

・話ができているから、言わなくても気付かれないでいた。就職の際に、「隠した方が良い」と言われて、言わないままにしてきた。でも最近、周りの人が良い人で信頼できると感じたため伝えてみた。すると、配慮してくれる場面も出てきて良かった。

・特に新人の頃は、聞こえない側に上司がいたら気を遣って大変だった。年やキャリアを重ねると、言いやすい立場になって少し楽になる。

 

 

f:id:katamiml:20191108213946j:plain

 (執筆:事務局あさの)

 

 

katamimito.hatenablog.com

【言語聴覚士に聞く!】片耳難聴は言葉や学業に影響するのか

 

 

以前の記事では、

「片耳が聞こえないからといって、聞こえる耳の側の脳にしか音が届かないことはない」..と現在は分かっていると説明をしました。

 

f:id:katamiml:20191106162258p:plain

音が脳に届くイメージ(岡野作成)

 

(蝸牛の中の細胞から送られてきた信号は、いくつかの中継地点を通って脳に届く。

中継地点では、左右の信号を交換し合いながら処理をして、片耳から入った信号も両側の脳に届く。

 

それでは、その他、

片耳難聴が言葉や勉強などに与える影響はあるのでしょうか。

 

 

 ▼INDEX

 

 

1.ことばの発達

もしお子さんが「片耳が聞こえません」と言われたら、ご家族がまず心配されるのが「ことばの発達には問題がないだろうか」ということかも知れません。

 

一般的には、片方の耳が聞こえていれば、ことばの発達や学業に影響を及ぼすことはないと考えられています。

 

海外での研究をご紹介します。

 

かつては聴覚支援の先進国である欧米諸国でも、「片方の耳が聞こえているのでことばの発達には影響がない」と考えられていました。

 

しかし1980年代に、

学業成績が遅れている児が一定数いることが報告され、片耳難聴の学業や言語発達への影響について注目が集まるようになってきました1)

 

2000年代になり、

2語文が出始める時期が遅れる2)、語彙が少ない3)、両耳健聴の子どもに比べ遅れがある4)、などことばの発達への影響についての研究が多く報告されるようになってきました。

 

一方では、

「そもそもことばに遅れがある子が専門機関にかかっているのでその子たちのデータを集めても意味がない」といった批判や、

「ことばの発達が遅れても就学するころには他の子に追いつく」5)など、

ことばの発達に影響を及ぼさないとする意見も根強く残っているのも事実です。

 

海外の様々な報告を総合し、現時点で分かっていることをまとめました。

・片耳難聴のある子どもの全員が、ことばが遅れるわけではない。

・中には、ことばの発達が遅れる子もおり、その割合は両耳が聞こえている子どもよりも多い傾向がある。

・ことばの発達に影響を及ぼすかそうでないかは個人差が大きく、何が影響しているかは分かっていない。

  

f:id:katamiml:20191106164210j:plain

 

2.学業への影響

また、小学生以降の片耳難聴を持つ子どもの学業への影響について、海外では様々な研究報告があります。

 

教育的もしくは行動的な問題を抱えている子どもがいる6)、特別な支援を必要としている子どもや留年している子どもの割合が高い1)7)といった報告もありました。 

 

一方で、学業成績も言語発達も問題なし8)9)、検査結果上は両耳聞こえる子ども変わりない10)といった報告もあり、一致した見解が得られているわけではありません。 

 

全体的に発達がゆっくりなお子さんや、コミュニケーションに苦手さのあるお子さんの中には、片耳難聴によって発達の遅れを助長させている可能性もあるかもしれません。 

 

もし、ことばの発達や学業について気になることがあれば、お近くの発達支援センターや言語聴覚士などにご相談ください。

 

今後、日本でもさらなる言葉や学業に関する研究が期待されます。

 

f:id:katamiml:20191106164446j:plain

 

3.席順の配慮という工夫

現在、一般的には片耳難聴が言葉の発達や学業に大きく影響を与えるとは考えられていないようです。

しかし、集団生活で雑音の多い学校生活は片耳難聴者にとって聞き取りにくく、困難を感じるお子さんもいます。

参考:両耳が二つある理由(過去記事)

そんなときに、有効なのが座席位置の変更です。 

 

日本耳鼻咽喉科学会学校保健委員会(2019)による耳鼻咽喉科健康診断マニュアルには、片耳難聴のある児童に対して

「学習が受けやすい位置への座席配置」

「聞こえる耳が教壇の側となる座席を配慮する」

と明記されており、片耳難聴の子どもへの席順の配慮が推奨されています。 

 

例えば、下の図のように、左耳に難聴のあるお子さんがいるとします。黄色で示すように聞こえる右耳が教卓側になるように配慮することが推奨されています。

f:id:katamiml:20191106162749p:plain

左耳難聴を持つ生徒に座席配慮をしたイメージ(岡野作成)

 

ただ、片耳難聴の子どもでは、

静かな環境での授業中の聞こえよりも、特にザワザワする、グループディスカッションが聞き取りにくかったり、休み時間の会話が聞き取りにくいといった困難さが伺えます。 

 

そのため、隣の席の友達とディスカッションや会話がしやすいように、ピンクで示すような座席にするといった配慮も良いかと思います。 

 

先生の声が遠くなりすぎないように前の方の席で、

かつ聞きもらしてしまった際に周りのお子さんの様子を見て行動しやすいよう、1番前の席よりも2列目あたりが良いかもしれません。 

 

あるいは、普段は特に位置を決めていないが、

英語のリスニングやオーラルコミュニケーション、入試のときなど、特に聞き取りが重要な時間では、聞きやすい席に配慮をする場合もあります。 

 

しかし、何事にも言えるように、「片耳難聴だから、絶対にこのようにサポートをしなければ/受けなければならない」というものではありません。 

 

片耳難聴の座席については、当事者から「席を配慮してもらいたかった」という声もあれば、「席順が決められていたのが嫌だった」「みんなと一緒に席替えをしたかった」という声もあります。 

 

受け止めは人それぞれです。ご家族や先生、周りの方は、まず、本人の声・様子に、耳を傾けてください。 

 

 

(執筆:言語聴覚士 岡野由実)

(編集:事務局 あさの) 

 

 

 

 <参考文献>

  • Bess F. H.,Tharpe A. M.(1984)Unilateral hearing impairment in children.Pediatrics,74(2), 206-216.
  • Kiese-Himmel C.(2002)Unilateral sensorineural hearing impairment in childhood: analysis of 31 consecutive cases.J.Audiol.,41(1),57-63.
  • Sedey A. L.,Carpenter K.(2002)What Do We Know, What Should We Do?.National Symposium on Hearing in Infants. August 1, Breckenridge, Colo.
  • Borg E.,Risberg A.,McAllister B. et al(2002)Language development in hearing-impaired children. Establishment of a reference material for a 'Language test for hearing-impaired children', LATHIC.
  • Peckham C. S.,Sheridan M. D.(1976)Follow-up ?at II years of 46 children with severe unilateral hearing loss at 7 years.Child Care Health Dev.,2(2),107-111.
  • Brookhouser P. E.,Worthington D. W.,Kelly W. J.(1991)Unilateral hearing loss in children.Laryngoscope,101(12 Pt 1),1264-1272.
  • Oyler R. F.,Oyler A. L.,Noel D. M.(1988)Unilateral hearing loss: demographics and educational impact. .Language, speech, and hearing services in schools,19,201-210.
  • Hallmo P.,Moller P.,Lind O. et al(1986)Unilateral sensorineural hearing loss in children less than 15 years of age.Audiol.,15(3),131-137.
  • Stein D. M.(1983)Psychosocial characteristics of school-age children with unilateral hearing loss. .Journal of the Academy of Rehabilitative Audiology,16,12-22.
  • Keller W. D.,Bundy R. S.(1980)Effects of unilateral hearing loss upon educational achievement.Child Care Health Dev.,6(2),93-100.

 

▼過去記事

katamimito.hatenablog.com

katamimito.hatenablog.com

 

▼学校関係機関の皆さま

きこいろでは、「片耳難聴者」をテーマにした関係者向けの研修や講演、また授業ゲストなどのご依頼をお受けしています。対象に合わせ、1回完結のものから複数回で完結するものまで、内容やスタイルはご相談ください。

お問い合わせはこちらのフォームよりお願い致します。

 

「きこいろ」とは:詳細はこちら(過去記事)

 
   

知っているようで知らないこと(イベントレポート)

 

 

初開催!

片耳難聴レクチャーを行いました。

 

「自分の片耳難聴について、知っているようで知らなくて」というご本人や

Dr.からは“大丈夫”と言われたけど、もう少し詳しく知りたい」ご家族、

「仕事で片耳難聴を持つ方に関わることがあるから、理解を深めたい」関係職種の方。

 

そんなリクエストに応えて、

これまでの片耳難聴Cafe(交流会)に加え、

レクチャー(勉強会)を行うことにしました。

 

 

f:id:katamiml:20191020155859j:image

 

 

INDEX

  

片耳難聴レクチャーの様子

今回は、広島にて開催。*1

 

 

当日の朝に、イベントがあることを知って急遽申し込んで下さった方や、直接会場にお越しくださった方もいらっしゃいました。*2

 

参加者は、20代~40代までの20名。

 

片耳難聴のご本人をはじめ、

「聞こえの微妙さが片耳難聴と通じる部分が多い」という軽度の両耳難聴の方、

片耳難聴のあるお子さんをお持ちのご家族、利用者さんに片耳難聴の方がいるというリハ職など。

 

 

 

講師は、きこいろメンバーの言語聴覚士

事前アンケートで参加者のニーズに合ったお話しが出来るようにしています。

 

今回の構成は

Twitter・ブログでも紹介している基本的な内容を中心に、さらに深堀するような内容となりました。

     聞こえ・聴覚障害の基礎

     片耳難聴のメカニズム

     片耳難聴の対応のコツと補聴機器の紹介 

 

▼使用したスライドの例

f:id:katamiml:20191020122822p:plain

難聴の聞こえ方のイメージ例



 

ミニ個別相談

前半レクチャーで知識のキャッチアップをした後は、ミニ個別相談 or 片耳難聴Cafe

同じ時間帯に部屋を分けて行うため、どちらかを選んでの参加となります。

 

ミニ個別相談会は、聞こえの専門職である言語聴覚士が一対一でお話しを聞きます。

 

「片耳難聴Cafeのようにグループでは、話しにくい個人的なこと」

「より具体的な質問・解決がしたい」

「仕事上で関わりがあり、より専門的な見解を聞きたい」

などといった方の相談に応じます。

 

一人20という短い時間での相談となるため、対応できることに限りはありますが、「片耳難聴について相談先があまりない」という課題に対し、まずは一歩だけでも力にになればと思っています。

 

(ミニ個別相談も初の試みでした。よりニーズにフィットしていけるよう今後も検討していきます)

 

 

 

補聴機器の体験

前回からに引き続き、ソノヴァ・ジャパンさまのご協力を頂き、「ワイヤレス補聴援助システム」「クロス補聴器」の体験もご用意しました。

 

これまでは、この二つについて知らない方も多い印象がありましたが、今回の参加者さんは体験をしたことがある方も多くいました。

 

「補聴機器を使うほどまでは困っていない」という方もいれば、

「使いたいけれど、どれが良いのかよく分からない」「使っていたけれど、自分には合わなかった」など、様々な声が聞かれました。

 

 

片耳難聴Cafeの様子

個別相談と同時間帯の裏側では、お馴染みの片耳難聴Cafe (8回目)

レクチャーの感想や自分の体験などをざっくばらんに共有しました。

 

話されたことの一部を簡単にご紹介します。

 

 

(1)日常生活について

・これからマスクのシーズン。余計に聞き取りにくくなる。音だけ通すマスクがあったら便利そう。

聞こえなくて「え?」と聞き返すとき、広島弁だからかキツク聞こえてしまうよう。

・聞こえないときは、全然違う言葉を使って聞き返して笑いを取ることもある。

・音楽を聴くときはモノラル設定にしている。

・めまいのある人もいる。「脱水機で回されている」かのよう。無理しすぎないことが大事。

・"耳鳴り”という概念が分かっていなかった子どもの頃、「ニュータイプの音だ!」と思っていた。

 

(2)伝えることについて

・伝えなくても自分のキャラクターで何とかできるから、あまり伝えていない

・生まれつきということもあり、自然と対処の仕方を身に着けているから何とかやれている

・友達関係より仕事上の方が、逆に伝えやすいと思っている。業務を遂行するために必要なことで、伝えることは合理的だから。

・両耳難聴やろうの方と会うことがあったとき、聴覚障害聴覚障害」と一括りで思っていたが、そんなことはなかった。千差万別。

聞こえる・聞こえないの感覚はお互いに理解が難しいから、伝えるときは工夫が必要。

 

(3)仕事について

インターンに参加した職場に就職。当初から聞こえないことは言っていたが、理解して貰え採用まで至った。

・ITやベンチャー気質、少人数規模の職場という環境で、配慮して貰いたいことは相談/交渉して試行錯誤できている。

テキストベースのやりとり、席の位置の変更、聴覚過敏のため耳栓をしての作業、リモートワークの導入を検討するなど

・数十年前から務めているが、昔ながらの企業文化だからか、片耳難聴のことを伝えても、席の変更などはして貰いにくい。

・医療関係職の現場では、「復唱」が誰にとっても基本。だから、聞こえずに聞き返すのもあまり不自然にならない。

・業務の「予習」をしている。

知らない言葉は、聞き取りにくいとさらに理解が難しい。事前にちょっとでも情報を入れておくと、聞き取りにくくても推測しやすい。

業務の流れも把握しておくと、次に何が話されるか選択肢が絞られるから、予測もしやすくなる。

仕事を覚えるのも早くなるし、質も上がってお得。

 

 

毎回、皆さんがとっても良い人達ばかりですごいなぁ…と感じています。

それぞれ初対面でバックグラウンドや価値観も異なるのに、真摯に話を聞き合い、お互いの大変さを想い合える、そんな時間でした。

 

f:id:katamiml:20191019214529j:plain

広島の皆さん、ありがとうございました!

 

 

今後の予定

11/02(土)神奈川 レクチャー&Cafe

 開催終了片耳難聴レクチャー&片耳難聴cafe | Peatix

 

12/14(土)13:00~15:00 岩手 Cafeのみ

・1月福岡 Cafeのみ 

・2月名古屋 Cafeのみ

・3月 茨城 レクチャー&Cafe調整中

 

メール/Twitterのメッセージでお申込みください

 

▼問い合わせ先

Email : kikoiro.com@gmail.com
twitter.com

 

 

▼参考の過去記事

katamimito.hatenablog.com


katamimito.hatenablog.com

 

 (執筆:事務局 あさの)

*1:毎回、県を超えて遠方から来て下さる方がいます..!

有難いけれど申し訳ないような、複雑な気持ちです。

もっと皆さんの身近で気軽に参加できる形をつくれるよう、今後の活動や体制を考えています

*2:申し込み方法が分かりにくく、ご迷惑をおかけしました..。エントリーフォームの利用ができない場合は、メールやTwitterのメッセージでお問い合わせください

片耳難聴者が集まったら・・(片耳難聴Cafeレポ)

 

9月14in大阪!

片耳難聴のしゃべり場、片耳難聴Cafe、第7回目!を行いました。

 

f:id:katamiml:20191009205843j:image

「片耳難聴Cafe」とは?詳細はこちら。

 

今回は、初の試みとして参加者のZUZUさん(大阪在中・40代女性)にレポートを書いて頂きました!

参加者目線でリアルな片耳難聴Cafeの様子が伝われば幸いです。

 

INDEX

 

 

全体の様子

20代~50代の男女6名が集まった。なんと、はるばる石川県からお越しの方も!

 

私は、以前のオンラインでの片耳難聴Cafeに参加していて事務局の麻野さんとは面識があったが、それ以外の方は皆さん初対面。また、当日は、新聞社の取材も入り、皆さん少し緊張しながらスタート。

 

初めに、それぞれネームプレートを書いて、席決めをする(本名じゃなくニックネームなどでもOK)。ネームプレートは難聴の左右の耳によって色分けされていて、一目でわかりやすい。

 

片耳難聴者にとって席の位置は非常に重要だ。右耳難聴の方は、左隣が落ち着き、左耳難聴の方は、右隣が落ち着く。

 

まずは、自己紹介タイム。

A4サイズの紙に、参加者に見える様にマジックで大きく書く。話すのが苦手な人にも話しやすいように。話していることが、聞こえづらい人にもわかるように、と。

 f:id:katamiml:20191009205920j:image

 

主に話されたこと

6人集まれば6人様々な症状、経験がある。

先天性は、生まれつき、もしくは物心ついた時から聴こえない。

後天性は、中学生の時に突発性難聴で、など。

先天性と後天性では、感じ方や経験も違うし、原因によっては、天候や体調で耳鳴りやめまいの不調に悩まされる方もいる。

年代や、性別、タイプによっても感じ方や日常的な対応の方法もそれぞれだが、共通するところも多い。

皆の発言に大きくうなずきながら聞く。

 

「片耳難聴であることを、身内と親しい友人にしか伝えていない」

「片耳難聴だと言えるようになるまで40年かかった」

「片耳難聴ということ自体が変わらなくても、学生の時と社会人になってからでは、困ることが変わった」

「片耳が聞こえないと物理的に不便な職場に就職してしまい(聞こえるポジションを移動できない空間的な問題)、工夫のしようがなく、潔く諦めて転職した」

「聞こえる振りをするので会話が噛み合わないことがある。不思議ちゃんと思われることがある(性格的にも、そうなのかも知れない・・笑)」

「飲み会は、会話が聞こえにくいので苦手になってしまう。でも、幹事をやると、幹事は端の席に座れるので積極的に幹事をする」

 

特に、たくさんの人が集まる場所では、「片耳難聴のことを伝えにくい」というのが全員感じているところ。

 

予め伝えていても、相手にもちろん悪気はないけれど忘れられてしまったり。聞こえなかったときに聞き返すのも、ワイワイした雑談では盛り上がりを中断させてしまうから、そう何度も出来なかったり。

 

どうやって伝えるかとか、そもそも聞こえないとここで言うべきかとか、やきもきしながらいるうちに、伝えることそのものが面倒に感じられたり。

 

伝えないと相手に分かっては貰えないし、一見、耳が聞こえないとは分からないのだし、他人から覚えて貰いにくいのも仕方ないと頭で理解しつつも、悩ましい、と皆が大なり小なり経験してきたようだ。

 

 

印象に残ったエピソード

参加メンバーが、これから就職する20代と人生の後半戦を迎える4050代の年代が集まったということで、「働き方」について話してみようということになった。

 

ある大学生には、消防士になる夢がある。小さい頃からの夢。そのために努力している。

でも、職業上、片耳難聴がハンデになり、応募に躊躇している。

少しでも、採用する側・周りの人に大丈夫だと思ってもらえるように補聴器の使用も考え、現在は試用しているという。

 

いま40代の私は、就職する頃は、諦めていた。やりたい仕事ではなく、できる仕事を探した。「片耳難聴だからこの職種は無理なんだ」と初めから諦めていた部分があった。

また、同年代の女性は、やりたい業界の中でも、もし聞こえないことがあっても大きなミスに繋がらない職種を選んだ、と言う。

 

そういう選択肢もある、それも工夫だろう

でも、いま、時代は変わってきている。

少しずつだが社会の理解も昔ほど悪くはないと思うし、困ったときに、こうして集まったり、インターネットを通じて情報を得ることができる。

今の若い人たちは、もっと自由に、選択肢があって、希望がある。

 

さて、片耳難聴と共に消防士になるためには、どうしたら良いだろうか。 

f:id:katamiml:20191009205905j:image

問い合わせたところ、エントリー自体は可能だが、片耳難聴をどう判断されるかは分からないとのこと。前例はないようで、就職してから突発性難聴になった例ならばあるようだ。

合格するには、ハンデをはねのけるような強い意志と、アピールポイントを身につける。他に何ができるだろうか。

皆で、自分の体験を共有しながら、考えた。明確な答えはでなかったけれど、その場にいる皆が心から応援したい、と思った。

 

 

補聴機器の体験

今回、片耳難聴Cafeの時間の中で、希望者はロジャーという「ワイヤレス補聴援助システム」を試すことができた。

 

f:id:katamiml:20191010172525p:plain

(※ソノヴァ・ジャパン社の協力で機器の貸し出しがされている)

出典:https://www.phonakpro.com/jp/ja/HOME.html

 

 初めて試す人がほとんど。

私は、ずっと昔、耳鼻科で補聴器の相談をしたとき「補聴器つけても変わりません」と言われて以来、補聴器は無縁のものと諦めていた。だから、片耳難聴でも使えるものがあることに感激した。

 

これは、聞こえる耳に受信機を付けて、この丸い集音のマイクをテーブルに置いて使う。

実際につけてみると、ずいぶん楽に話が聞ける。 飲み会のとき、ざわざわしてるところ、立ち位置が変われない時にとても役立ちそう。

ずっとつけているには、音がダイレクトに伝わるからか疲れる感じがあるという人もいた。慣れたら変わるのだろうか。

 

また、機械をテーブルに置くことで、周知してもらえるメリットがあると感じる。「片耳難聴者です!!」との、アピールは、普段は口で伝えるしかないのだけど、ロジャーを置くことで視覚でも周囲に訴えられる。

ロジャーを置くことの、はじめの勇気を乗り越えられたら、あとは、ずいぶんと楽になれるだろう。

 

みなさんの感想

「初めて、自分以外の片耳難聴者と話をした」

「気持ちを共有できて嬉しい。また参加したい」

「皆さんの話を聞いて、片耳難聴のせいにしてきたことは、自分自身の問題でもあったかも知れない。もう少し積極的になってみようと思った」

参加された皆さんが笑顔で帰っていく姿が印象的だった。共感できる場があること、それだけで励まされる。

 f:id:katamiml:20191009210831j:image

私自身は、今回皆さんのお話を聞いて、自分にも片耳難聴について発信する役目があるのだなと感じた。

 

言わない・言えなくなる原因は様々で、「片耳が聞こえるからいいじゃないか」などと周りの人に言われた経験がそうさせるのかも知れない。少なからず心が傷ついた経験をしている。私も悩んできた。

 

でも、もう今なら言える。40代、そういう人生の段階だ。

だから、これからは、自分のためにも、周りの人のためにも、片耳難聴のことを伝えていこうと思う

 

今回、片耳難聴Cafeで話したように、相手にも分かりやすいように、ちょうどよく片耳難聴のことも、自分のことも、話していけたらいいと思う。

 

そんな明日からの目標のような、勇気を抱いた時間だった。

皆さん、ありがとうございました!

 

(執筆:ZUZUさん)

(編集:きこいろ事務局 あさの)

 

 

 今後の予定

・10月19日 in 広島

kikoiro-lecture1.peatix.com

 

・11月2日 in 神奈川

kikoiro-lecture2.peatix.com

 

・12月14日 13時~15時 in 岩手一関駅最寄り
 (片耳難聴Cafeのみ)

 

 

【言語聴覚士に聞く!】片耳難聴ライフに補聴機器を役立てるには

 

 

両耳難聴の人たちにはよく使われている補聴器。「片耳難聴に補聴器」は日本ではあまり一般的ではないかもしれません。

でも実は、片耳難聴者でも使える補聴機器がいつくかあります。

f:id:katamiml:20191001151618j:plain

岡野作成

 

「ちょっとでも聞こえやすくなったらいいな」と、補聴器に興味を持った方は、自分の困っている状況を補聴器でどれくらいカバーできるのか、それに見合う費用なのかなどメリット・デメリットを踏まえ検討しましょう。

 

この記事では、それぞれの特徴を解説していきます。

 

 ▼INDEX

 

 

1. 一般的な補聴器

以下のような一般的な補聴器を難聴側の耳に装用する方法があります。

f:id:katamiml:20191001144505j:plain

左側:耳穴型、右側:耳かけ型

出典:https://www.oticon.co.jp/solutions

 

片耳難聴の人が一般的な補聴器を難聴側に使う場合、難聴耳の聴力が「70dB未満の軽度~中等度難聴」でないとなかなか効果が出ません。

補聴器の出せる音の大きさと、耳が耐えられる音の大きさには限界があるからです。

 

そのため「70dB以上の高度~重度難聴」の場合には、難聴耳に補聴器をつけるのは難しいかもしれません。

難聴側の聴力が高度~重度の場合には、これ以降に紹介する2~4の補聴機器の方が向いています。

 

さらに、よくある誤解として「補聴器つけていれば聞こえる」というものがあります。

しかし、軽度~中等度の難聴の方でも、補聴器によって正常な聞こえに戻るわけではありません。補聴器はあくまで音を大きくする機械です。効果は人それぞれになります。

 

補聴器の形には、2つのタイプがあります。

・耳の穴の中に入れるタイプ(耳あな型)

・耳にかけるタイプ(耳かけ型)

 

耳あな型は、目立たない・マスクや眼鏡の邪魔にならないメリットもありますが、ハウリングを起こしやすく、耳閉感を感じたり、聴力や耳の中の状態によっては適しません。

また、お子さんの場合、成長により耳の穴の大きさが変わりやすく、落下や紛失の可能性があるため、一般的には耳かけ型を使用します。

 

補聴器の価格は1台10万~50万。

その価格の差は、

・調整できる幅の細かさ

・騒音抑制機能や指向性機能の性能が高い

・オプション機能(スマホと連動できる)

などです。予算を決めて、自分の生活環境に合った補聴機器を選びます。

 

ただし、価格に関係なく、正しく補聴器を調整してもらうことが大切です。補聴器は眼鏡のようにかければすぐ聞こえるようになるものではありません。

何度も調整を繰り返す中で、補聴器の聞こえに慣れていく練習をする必要があります。

 

そして、他の補聴機器にも共通して言えることですが、ランニングコストがかかります。

耐用年数は5年と言われていますが、日々のメンテナンスによっては5年未満で故障することも、5年以上使用することもあります。

 

なお、左右の聴力差が25dB以上ある場合などは購入の前に耳鼻科医を受診するというガイドラインが定められています。補聴器の検討の詳細は後日別記事にて!

 

 

2.CROS補聴援助システム

 

クロス補聴器は、難聴側で聞こえる音を、聞こえる耳で聞き取るための補聴器です。

そのため、難聴側が全く聞こえない人でも使うことができます*1

 

f:id:katamiml:20191001144750j:plain

片耳難聴でも両耳に装着することとなる

出典:http://national.blog36.fc2.com/blog-entry-1153.html

 

どういうことかと言うと、

難聴側の耳には送信機能のみの補聴器を装用。聞こえる耳には受信機能のある補聴器を装用します。

難聴側の送信機で音をキャッチしたら、電波で健聴側の受信機まで飛ばします

 

難聴側の音が聞き取りやすくなる反面、デメリットもあります。

例えば、難聴側に雑音がある場面ではかえって聞こえやすい耳側での聞こえを妨げてしまうこともあるのです。

 

そのため、難聴側の音も聞き取りたい場面(例えば会議など)を選んで使用します。

 

 <使用している人の声>

・職場で隣の席の声が聞き取りにくいから使いたい

・会議を聞き取りやすくしたい

・ママ友との食事会の話を聞き漏らしたくない

・保護者会での話し合いの場で使用したい

 

自分自身でクロス補聴システムが適している場面と適していない場面を把握して、付けたり外したりする必要があるため、あまりお子さん向きではありません。 

他にも片耳難聴の困りごとのひとつ、「音の方向感を掴む効果」は期待できないと言われています。

 

価格は、発信する方の補聴器(難聴側につける)は10万円程度、受信する方の補聴器(聞こえる側につける)が15万円程度するため、おおよそ25万円は必要です。

 

 

3. ワイヤレス補聴援助システム

周りに雑音がある環境でも聞き取りの改善ができるのが、ワイヤレス補聴援助システムです。

聞こえている方の耳に装用して、使うことができます*2

 

f:id:katamiml:20191001150959j:plain

使用イメージ

出典:https://www.toshin-ha.co.jp/introduce/

 

使い方は、話し手に送信用のマイクを持って話してもらい、受信機能のみの補聴器を聞こえる耳に装用して使います。話し手の声が、デジタル無線やFM電波によってダイレクトに補聴器に届く仕組みです。

 

特に、効果を発揮するのは、1人の話し手に対して聞き手が大勢いるような場面(例えば学校の授業や講演会)です。

欧米諸国では、学校生活を送る片耳難聴の子どもたちを始め、騒音下で聞こえづらさを訴える子どもたちにも積極的に導入されています。

 

自身で補聴器をつけた場合は、周りの音をキャッチできるのは約2m前後。そのため、遠くから発せられた音には効果がありません。

しかし、ワイヤレス補聴援助システムでは、送信機が話し手側にあるため、自分と離れた場所(15m程度)にいても使うことができます。

 

一方で、マイクの近くで話してもらわないとあまり意味がないため、話し手が複数いて騒音が大きい場面パーティー会場・居酒屋、休み時間の友人との会話など)では、なかなか効果を実感できません。

 

最近では、マイクが複数の方向に向く送信機も発売されています。それでも、騒音が多すぎると聞きたい話し声だけでなく周りの雑音も拾ってしまうため、快適に使うにはなかなか難しいかもしれません。

 

価格は、送信機(話し手が持つ)が約6万〜13万、受信機(聞こえる耳につける)は約6万円程度です。

 

 

4.BAHA埋め込み型骨導補聴器

音の情報が内耳という音を感じ取る器官に届くルートは、2つあります。

・外耳~中耳~内耳と伝わる「気導」

・頭蓋骨を通して直接内耳に伝わる「骨導」

 

BAHA(バーハ:Bone-anchored hearing aid)は、「骨導」を使って内耳に直接音を届けるものです。そのため、内耳に障害のない伝音性難聴に有効です。

 

また、内耳に障害のある感音性の片耳難聴の場合でも、聞こえない耳の側に骨導補聴器を装用し、聞こえにくい方の音を、頭蓋骨を介して聞こえる耳の内耳に届ける(クロスさせる)ことができます。

 

f:id:katamiml:20191005122831j:plain

片側のみが感音性難聴の場合

 

方法は、手術によって耳の後ろ側の頭蓋骨にインプラントと呼ばれる器具を埋め込みます。そして、一部突出しているインプラントに体外装置をパチッと装着して使用します。

 

f:id:katamiml:20191005125115j:plain

耳の後ろについているのが装置

出典:https://thebahablog.com

 

一般的な骨導補聴器は、埋め込む手術は必要なく、カチューシャのような形をしており、外れやすかったり骨導端子の圧着が強すぎて痛かったりします。

BAHAでは骨導補聴器を頭蓋骨に埋め込む手術をすることで、この欠点をカバーすることができます。

ただし、インプラントの一部が頭に突出しているため、皮膚の感染予防のために日々メンテナンスが必要です。

 

海外では、BAHAが片耳難聴、特に難聴側の聴力が高度~重度の「片耳が(ろう)」の人に使用されています。

ただし、片側聾の人にBAHAについてガイダンスを行ったところ、約半数が試聴を希望せず、試聴した約半数が手術を希望しなかったと報告されています。その理由が経済的な理由や見た目の問題などでした。

 

片側聾の人へのBAHAの効果については様々報告があり、雑音の中での聞き取りは改善し、聞こえにくい側の音を聞き取るのには効果があるようです。

しかし、音の方向感覚の把握については、結局のところ聞こえる耳の内耳で聞き取っている訳なので、改善しなかったという報告が多くあります。

 

日本では、両耳の伝音難聴には2013年~保険適応(平均骨導聴力が45dBHL以内で、各補聴器や手術での改善が見込められない場合)されていますが、片耳難聴には客観的には効果が立証できず、保険が適応されていません*3

 

保険適応がない場合は、病院によっても異なりますが最低費用として、機器のみで約50万、検査・手術・入院費用は病院によっても異なりますが約50万円がかかります。

 

 

5.人工内耳

現在、日本では片耳難聴に人工内耳は効果の実証研究中のため保険適応がされていませんが、「補聴器の効果が難しい両側の重度難聴」の子どもや成人に使用されている機器です。

 

f:id:katamiml:20191001153056p:plain

手術となるため適応基準が定められている

出典:

 

仕組みは、電極を内耳の中に埋め込み、音がすると内耳に埋め込んだ電極から電気が発し、内耳の中の細胞を刺激します。その刺激が、脳では音情報と認識されるというものです。

 

聞こえる音は、内耳の中にある何万本という細胞の代わりに数十個の電極で刺激を送っているため、通常とは異なります。

 

そのため、完全に聞こえを改善させるわけではありません。機械的に25〜35dBの音がしたときに電極が反応して、音として認識されるのです。個人差がありますが、重度難聴・高度難聴(90dB以上)の聞こえが、軽度難聴(35~40dB)程度の聞こえになると言われています。

 

また、効果には個人差があり、一般的には難聴を発症してからの期間が短い、手術する年齢が低い方が、術後の聞こえが良いと言われています。

  

f:id:katamiml:20191005143406j:plain

耳の後ろにあるのが体外装置

人工内耳の手術は、電極を制御する「インプラント」と呼ばれる装置を頭皮の下に埋め込みます

インプラントの中央には強力な磁石がついており、この磁石によって体外装置をペタッ頭にくっつけています。

 

手術後には、聞こえに慣れていくために時間とリハビリが必要です。定期的に調整に通い続けます。もし体内の機械に故障や周囲に感染などが起こった場合には、再手術が必要となります。

 

日常的には、頭部の強い刺激によりインプラントが破損するのを防ぐために、スポーツやダイビングなどの制限があります。

 

実は、当初、片耳難聴の人に対する人工内耳の使用は、難聴のある耳の耳鳴りの治療のためでしたが、結果として聞こえの改善が見られたため、海外では片耳難聴のある大人や子どもの聞こえの改善のための人工内耳に注目が集まっています。

 

海外の報告によると、難聴側からの聞き取り、騒音の中での聞き取り、音の方向感のいずれにも効果がみられているようです。

 

ただし効果には個人差が大きく、中には聞こえる耳と同じように聞こえるようになったという人もいれば、人工内耳を着けることでかえって聞こえる耳による聞こえの邪魔になってしまうため外しているという人もおり、「片耳は正常に聞こえているがゆえの難しさ」もあるようです。

 

費用は、保険適応がないため全額自己負担となり、機器のみで約100万、病院によって異なりますが別途検査・手術・入院費用がかかり総額約400万円かかります。

 後日別記事でも詳しく解説予定!

 

 

6. まとめ

片耳難聴のある人が選択できる機器のそれぞれのメリット・デメリットをご紹介してきました。

 

f:id:katamiml:20191001151618j:plain

岡野作成

 

なにごとにも一長一短があります。あなたの困りごとを少しでも・でも確実に減らせるように、購入を検討する際には、必ず試聴をし、手術が必要な機器についてはよく効果について学習しましょう。自分の聞こえや生活シーンにフィットするのかどうか、費用対効果を考え、購入を検討することをオススメします。

 

※価格は、現時点での相場価格です。異なる可能性があります。

 

(執筆 言語聴覚士 岡野由実)
(編集 あさの)

 

 

 

 

▼関連記事

katamimito.hatenablog.com

 

▼理解を深めたい方はこちら!

kikoiro-lecture1.peatix.com

 

 

*1:聞こえやすい耳の方にも軽い難聴がある人のためにバイクロスという補聴器もあります

*2:両耳難聴の人も、補聴器や人工内耳に直接音を飛ばして使っています

*3:医療機器審査報告書(独立行政法人医薬品医療機器総合機構

【インタビュー】ご家族と片耳難聴

 

 

片耳難聴を持つ娘さんのご家族である、

きこいろ運営メンバーのお一人、瀬川さんにお話しを伺いました!

 

INDEX▼ 

 

プロフィール

名前:瀬川さん

年齢・性別:40歳、男性

仕事:基礎医学/生命科学研究者 大阪大学

 

家族のこと:妻 (38),  長女(7),  長男 (4) 

娘さんの片耳難聴が分かった時期:保育園の頃

聞こえの程度:右耳がほぼ聞こえない

原因:わからない

本人へ伝えているか:伝えている

本人の受けとめ:あまり気にしていない様子

補聴器などの使用:なし

他の症状:なし

 

f:id:katamiml:20190921155437j:plain

お子さんの片耳難聴が分かって

あさの(以下あ):まず初めに、娘さんの片耳難聴が分かった経緯を教えて頂けますか。

瀬川さん:長女が保育園の先生に伝えたことをきっかけに、ようやく親が知ることになりました。保育園の伝言ゲームで、「右の耳が聞こえづらいから、左で聞きたい」と保育士の先生に訴えたことで発覚したんです。

それまでも本人から、何回か聞こえにくいと親にコメントがあったように思うのですが、全く気付いてやれませんでした。保育園の先生も、気がついておらず、まさに晴天の霹靂でした。

 

あ:それはビックリされましたね。確かに、片耳難聴は日常会話が成り立つので、近くにいる親御さんでも気づかれない場合も多いようです。原因も不明とのことですが・・

瀬川さん:原因の探索は主治医の先生と相談しながら進めて頂き、一通りの検査をしましたが、分かりませんでした

出生時に行った、音に対する聴神経から脳幹の電気的反応の検査「聴性脳幹反応」(ABR:Auditory brainstem response)は両耳ともパスしていましたし、 1歳で難聴の原因にもなりうる麻疹・おたふく・風疹のワクチンも接種していました。

難聴を引き起こす可能性のあるサイトメガロウイルスの検査もしましたが、結果は陰性ですし、 MRIやCTで器質・形態学的な異変もありませんでした。

そのため、4~5歳のどこかで発症したと推測されました。

個人的には、ワクチンで抗体価が十分に上がらず、野生型のムンプスに不顕性感染した可能性を考えています。

 

f:id:katamiml:20190921155755j:plain

https://www.h-nc.com/cat32/post_65.html

 

あ:幼いお子さんにとっては、検査や病気の理解が難しいかと思うのですが、どんな風に説明していましたか?

瀬川さん:事実を淡々と、でも検査の必要性をできるだけわかりやすい言葉で伝えるようにしています。検査は面倒くさがりますが、特に負担にはなっていないように見えます。

あ:そうなんですね。支援者サイドとしては、親御さんにとっても初めてのことなので、まずは親御さんへの丁寧な説明が必要だとも感じています。

片耳難聴のこと自体は、娘さんの感じはどんな風ですか。

瀬川さん:娘は、分かったときはケロッとしていた感じがします。今も、本心まではわかりませんが、ちょっとした不便はあれど、あまり気にしてなさそうです。

 

 

 

家族の心境 

あ:娘さんの片耳難聴が分かったとき、瀬川さんご自身やご家族はどんな心境でしょうか。

瀬川さん:私は愕然、妻は「なんとかなる」といった感じでした。

私自身が普段、病気について勉強しているにも関わらず、難聴は全く理解していなかったことに気がつきましたし、この先どうなるのかと落ち込みました

あ:そうだったんですね。親御さんも、突然のことで驚かれるのも無理はないと思います。

そんな中で、誰かに相談することもありましたか?

瀬川さん:周りに医師が多いので、医師への治療・診断の相談をしましたが、自分で関連する総説、最新の治療法や基礎の論文を読んで勉強していました。

友人には、少し話をした程度で、特別に相談はしなかったです。あと、妻が明るく、それには救われました。

 

あ:具体的にどういうことなのか・どうするのが良いのかと情報を探されたんですね。

瀬川さん:はい。そして結局、原因も不明で治療法もないということが分かりましたので、 片耳難聴と長く付き合っていくにあたり、web上で実際の当事者の方々の情報を集めました。

その中で、「片耳なんちょーキクチさん」や「デフサポのユカコさん」の存在を知り、片耳難聴の方・高度両側性難聴の方の人も、素晴らしい方が沢山いると分かりました。とても勇気付けられ、なんとでもやっていけると強く励まされました。

 

f:id:katamiml:20190921154914j:plain

 

あ:先輩当事者の存在に安心される保護者の方は多い気がします

その後、時間と共に気持ちの変化や、今はどんなお気持ちでいますか。

瀬川さん:私も妻も、すっかり落ち着きました。 何が起こっても、最善をつくして、子供をサポートしようと話しています。

耳が聞こえても聞こえなくても、もっと重い病気になってもならなくても、親ができることは、「子供を大切にすること」だけだと思います。それ以上でも以下でも無い。前を向いて応援するだけ。

そんな当たり前のことに、気がつけたことが落ち着いた一番の理由だと思います。

 

 

お子さんとの関わり 

あ:普段から片耳難聴のお話しはされますか?

瀬川さん:職業柄、いろんな病気があること・生命のこと・親もいつ死ぬかわからないことなども含めて、普通に話をしています。

「毎日明るく元気にいこう。心が前向きであれば、体の器質的なハンディキャップにも負けることはないと思うよ」と伝えています。

「ハンディキャップを糧やバネにして、活躍する方々がたくさんいるよ」「こんな人もいるよ、あんな人もいるよ、すごいなー」「心の持ち方なんだねー」と伝えています。

 

あ:補聴器のことなども話しますか?

娘さんは、片耳はほぼ聞こえないとのことなので、一般的な音を大きくして聞くタイプの補聴器は効果がありません。でも、近年は技術の進歩で「クロス補聴器」や「補聴援助システム」という選択肢もあります。

瀬川さん:今後、皆さんから教えていただきたいところです。

私自身が調べたところでは、難聴側からの聞き取り・音源特定や騒音下での聞き取りの改善という点で人工内耳に魅力を感じています。娘にも、“聞こえ”をサポートするさまざまな選択肢があることは伝えています。娘も興味を示しているようです。

なんにせよ、メリット・デメリットを総合的に、娘と話し合いながら考えていきたいと思っています。

補聴機器の説明は後日・別記事にて!

 

あ:また、弟さんがいらっしゃいますね。お姉さんの難聴については伝えているのですか?

瀬川さん:伝えています。「お姉ちゃんは、右が聞こえづらいよー」といった程度に。まだ4歳なので、なんとなくしか分かっていないのだと思います。

たまに、「お姉ちゃんは片方の耳が聞こえない」と悪気なく言います。その時は、「お姉ちゃんはお耳の病気に負けず、明るく元気でいてるからすごいなー」と伝えています。「ほんまに立派やわー」と。

今後も、事実を伝えるつもりです。

 

f:id:katamiml:20190921160540j:image

 

周りの人に伝えるにあたって 

あ:片耳難聴について、周りのお友達などには伝えているんでしょうか?

瀬川さん:様子をみて、必要に応じて自分から開示しているようです。

親からは、 保育園でも小学校でも、担任の先生や関連する先生方にお伝えしています。そのときに、サポートの指標の1つとして、岡野さんらが監修した、半分青いのプリントなども渡しています。

あ:学校側も知らないことがあると思うので、具体的な対応イメージができると良いですね。

瀬川さん:ただ先生には「あくまで、娘と先生で話し合って決めてください」と伝えています

娘にも、「先生には座席の配慮や音源特定の困難、騒音下での聞き取りについて伝えているが、最終的に自分で先生と相談するように」と伝えています

「自分で、聞こえにくいとか席を代わりたいとか、思ったことを伝えていけばいいよ」と。

自分で考えること、伝えること、失敗を恐れずチャレンジし続けること、を育てられればと思っているからです。

 

f:id:katamiml:20190921161503j:plain

 

配慮するのは、その方が楽しいと思えるから

あ:その他、ご家族で工夫されていることなどはありますか?

瀬川さん:例えば、座席の位置を聞こえやすいようにしています。本人は「別に良いから・・」と言いますが、「配慮」というより私の個人的な欲求で。彼女が聞こえやすい方が、会話も弾むし、私が楽しいから。

 

座席の配慮以外にも、長女は、難聴側からの会話を聞き返すことがあるのですが、「聞こえにくいのは当然なのだから、何度でも聞きなさい」と伝えています。「聞き返すことは、まったく悪いことじゃない。理解を諦める方がダメだ、何度でもチャレンジしよう」と伝えてます。

なので、聞き返されたら何度でも、できるだけ顔をみて答えるようにしています。 (思春期には難しいでしょうし、TPOにもよりますが)

「ちょっとしつこく感じたらごめん、けど、わかるまで何度でも聞きます。何か?」みたいになってほしいです。笑 

 

あ:瀬川さんのお人柄がすごく伝わってくる気がします。

瀬川さん:そうですね、私自身もそんな感じで、相手の発言も理解するまで何度でも聞くし、時には、空気を読まないことも辞さないで、思ったこを言うのも大事だと思っています。

 

 

f:id:katamiml:20190921154858j:image

 

▼ 過去記事

片耳難聴と子ども・ご家族

 

インタビュー後記

大人の役割とは、単純に「片耳難聴だから、こうすると良い」とアドバイスするだけでなく、「どうやって片耳難聴と付き合うか」「どうやって人と関わるか」という学びをアシストすることなのかな、と考えさせれるインタビューでした。

子どもたちのチャレンジの土台となる<周りの人への信用・自分への自信、自分と異なる他者とコミュニケーションを取る力>の育ちを見守っていきたいです。

 

片耳難聴のご本人も色んな考え・気持ちでいるように、保護者の方も色んなスタンスの方がいます。 

 

「うちの場合は、どうしたらよいだろう?」というヒントになるような体験談をこれからも掲載していきたいと思っています。

引き続き、インタビューにご協力くださる方も募集しています。

(あさの)

 

 

 ※写真はイメージです